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テレビや新聞を見ていると世の中のおおまかな動きが分かるのは良いのですが、ちょっと誤った方向に誘導されてしまいがちなので注意が必要です。

それらの具体例はさておき、日本のメディアが他の先進各国と決定的に違う点が2つあります。


まずはその1つ。テレビと新聞が同じグループ(クロスオーナーシップ)というのが度々問題視されていますね。

読売新聞 ⇔ 日本テレビ

朝日新聞 ⇔ テレビ朝日

毎日新聞 ⇔ TBS

産経新聞 ⇔ フジテレビ

日経新聞 ⇔ テレビ東京

クロスオーナーシップの問題点は言うまでもありませんが、例えば新聞が誤った報道をすればテレビがそれを批判する、逆にテレビが誤った報道をすれば新聞がそれを批判するといった健全な相互批判が起こりにくいという点です。

加えて、もう一つ。日本の悪しき風習として「記者クラブ制度」があります。

官公庁や大きな業界団体の記者会見については、この記者クラブに加盟しているメディアの記者しか出席できません。

発表内容は記者クラブ加盟の会社同士でも意見の隔たりは起きにくくなっています。つまり横並びの報道。まあ発表自体が同じ内容ですからね。

大手メディアにはこのように情報が垂れ流される仕組みなので、競争も起こりにくく、いわゆる得ダネが少なくなります。

クロスオーナーシップと記者クラブ制度の2点が他国と大きく違う点という訳ですが、この弊害をあえて今日のタイトルとかぶせてみましょう。

日本国内のインフレ懸念は?

2022年4月時点のアメリカのインフレ率は8.1%でした。

5月5日には深刻なインフレを抑制する為にFRB(連邦準備制度理事会)が0.5%の利上げを実施しました。

アメリカの株価が乱高下するのは、企業の業績発表によるものもありますが、利上げが予想以上だったとかインフレ率が予想よりも下回ったとかの要因も大きいです。

日本の株式市場もアメリカをはじめ外国の投資筋が全体の6~7割を占めているので、アメリカの影響を大きく受けやすい環境になっています。

このため、アメリカがくしゃみをすれば日本もくしゃみをしてしまう現象が昭和の時代からずっと続いています。

で、何?って話ですが、日本の報道では

「アメリカはインフレで大変だ、さあ利上げしたぞ。」
「日本はどうだ?利上げしないのか?」
「日本もインフレ圧力が強まっているぞ!何もしなくていいのか?」

こんな感じです。

ウクライナ情勢の影響もあり、確かにエネルギー価格の上昇は顕著だし、原材料価格も高騰しています。

原材料価格の高騰は加工製品にも影響を与えそうだし、うまい棒は1979年の発売以来初めての値上げ、スタバもフラペチーノなどの主力商品を値上げで学生に大打撃なんてやっています。

重ねて書きますが、日本の報道ってこんな感じです。本当にインフレ圧力が強まっているのか?

これに関してはモアぞうもある程度は理解しているつもりでしたが、最近は日本においてインフレは当面起こりそうにないと思うようになりました。

また、日銀が政策金利を上げるときってのは、景気が良い時、すなわちインフレ基調が強まっているときです。

インフレが強くなりすぎると経済が混乱してくるので、金利を上げることで企業活動を抑制して景気を緩やかに冷やして正常化していくことが目的です。

つまりインフレが起こらないってことは、金利も上がりそうにないってことです。

ちなみに、インフレは借入金が実質的に目減りするので、不動産投資には追い風ですが、そうもいかない模様です。※まあこれはオマケみたいなもんですが

テレビのニュースでは「モノやサービスの価格が上がって大変だ」という論調が多数を占めていると思います。これはモアぞうの感覚。皆さんはどうでしょうか?

もちろん全てではありませんので、一部の番組では識者のコメントで詳しく説明している場合もあります。

以下の2点を抑えれば日本でインフレが当面起こりえないことが分かります。

まず、マクロの物価とミクロの価格は必ずしもリンクしないってのが1点。

もう1点は内閣府が発表しているGDPギャップ(需給ギャップともいいます)についてです。

全体の物価(マクロの物価)と個別の価格(ミクロの価格)

先述の話に関連して、レギュラーガソリンが170円/ℓを超えたとか、うまい棒の値段が上がったとか、スタバが値上げしたとかってのは個別の価格。つまりミクロの話。

対して全体の物価の話は総務省が発表する①総指数(CPI)、②コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)、③コアコアCPI(生鮮食品とエネルギー価格を除く総合指数)です。

世界的には③の生鮮食品とエネルギー価格を除いた総合指数で経済を見ているのに、何故か日本では①及び②に主眼を置いています。

メディアの報道もそれに倣ってか、エネルギー価格の上昇をインフレに結び付けてしまっている節があります。

エネルギー価格って、例えばかつて中東情勢に左右されてオイルショックが起こったように、国内の経済政策ではどうしようもないので、全体の物価の動向を見る上では参考値程度にとどめるべきです。

また、個別の価格が上昇した場合は、消費税の軽減税率を適用させたり、酒税やガソリン税など個別にかかっている税金を下げたり、あるいは関税を下げるなどの対策で事足りる場合が多いです。

これだけでもミクロ価格とマクロ価格をごっちゃにしてはいけない気がしていまいますね。

どうもメディアはこれらをごっちゃにして報道して、「インフレが起きて大変だ大変だ」と煽っているように思えてなりません(個人の感想です)。

↑こちらの記事ではモアぞうも全体の物価(マクロの物価)と個別の価格(ミクロの価格)をやや混同している節があります。反省。

GDPギャップがマイナスの意味

2021年4月12日の発表で、2021年10月~12月のGDPギャップは▲3.1%でした。

GDPギャップの定義は「実際のGDPと潜在的なGDPの差」です。

つまり、上記発表の数値の意味は、総供給に対して総需要が3.1%足りないって意味です。

GDPが500兆円とすると、その3%の15兆円分が足りない。

あえて分かりやすく言えば、お店が商品を500個を用意しているけど、お客さんがそこまで求めてなくて、485個しか売れない状態です。

全てを売り切る為にお店はどうするか?

値上げするでしょうか?

否。どちらかと言えば値下げをするでしょう。

日本は2020年のコロナ禍からずっとこのような状態なので、インフレ率が低いままになっています。

他の先進各国はGDPギャップがありません。

理由はコロナ禍で財政出動の予算を大きく取って、大胆に実行したからです。

あれ?日本も100兆円くらい予算化してなかったっけ?

その通り。

確かに日本はアメリカに次いで大きな予算を付けましたが、実行されないまま残っているか、「お金は配るけど後から返してね」ってパターンが多く、十分に効果が発揮できていない状況。

俗に言う”真水”が足りない状態。真水ってのは返す必要のないお金です。

緩やかにインフレを起こすにはGDPギャップを埋める15兆円と、それにプラスして10兆円くらいの真水を投入しなければなりませぬ。

ってことでここに行きつくわけですな‥‥。

↑の記事のタイトルでは、大胆な経済対策あるかもよって書きましたが、間違いかもしれません。

というのは、「検討」使との呼び声が高い岸田総理のこと、何か指針をあげては世論の反発にあって引っ込めたり、あるいは世論が動いているところに飛びついて予算を付けたりする傾向があります。

最近では、「マスクを外すのは時期尚早」って述べて、SNSを中心に反発が起こったら「マスクを取るのもやぶさかではない」みたいな論調に変化しました。なんとも分かりやすい。

さて夏の参院選までにこのGDPギャップを埋めるような大胆な財政出動の指針を出せるかどうかですが、本稿の中で述べたメディアの報道の姿勢を見る限り厳しいと思いませんが?

メディアの報道で「GDPギャップを埋め、さらに需要を喚起する為に25~30兆円規模の経済対策(財政出動)が必要だ」なんて論調をほとんど見たことがありません。

「インフレが起こりそうだ。アメリカやその他の国は利上げしている。日本は利上げしないのか?」みたいな論調ばかりです。

そしてこういったテレビや新聞の報道をよく見ているのは、投票に積極的なご年配の方ばかり。

ということは、テレビや新聞の報道が岸田総理に影響を与えるのと同義(乱暴な意見w)なので、過度にインフレを恐れて大胆な経済対策などは行われず、金融緩和継続だけになりそうな予感‥‥。

尚、安定して2%のインフレ目標が達成できなければ金融緩和を緩めないっていう大きな指針があるので、これは継続されるでしょう。

但し、需給ギャップがマイナスの中でいくら金融緩和をしても安定した2%のインフレ自体が起こりません。

つまり、やっぱり利上げが行われる可能性は皆無。

ってことで、まとめると、今の日本の状態を諸々鑑みると、日銀の利上げは無しで、借り入れ金利も個別の金融機関で経営方針とか社内事情によっては多少の上昇はあり得ますが、全体的な話の中で、多くの金融機関では継続的に金利を上げるなどということはなさそうですよって話。

巷で不安視されていた金利上昇ですが、これが現在の事情。ってことでこれについては一安心?

とは言え、日本の景気が良くならないと国民の生活も豊かになりませんので、やっぱり大胆な経済対策は必要で、これは特に特に若い方が選挙に行かなければなりませぬ‥‥。ひえ~これ以上政治的な話は避けます。いつもふざけているTwitterとはえらい違いですな。

ってことで今日はここまで。

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